僕の背中には羽があった。
それは、自分のものではなく、誰かから毟りとったものだった。
奪われた羽は、もう生えない。
毟られた背中は、ヒリヒリと痛む。
もしかして、僕に羽を毟られた誰かも、こんな感じだったのかな。
今は、もう――――・・・知ることは出来ないけれど・・・
今更ね、こんな事を言っても、信じてもらえるなんて思ってないよ。
これは、君に届かない独白。
僕は、僕がしたことを間違っていたなんて、今でも思ってない。
それが僕が、僕自身が存在する意義だったし、心からの願いだった。
だから、後悔はしていない。
ただ―――・・・馬鹿だったな、って、思う。
僕は馬鹿だから、君を失っても平気だと思ってた。
だって、僕は何度も君を失ったんだ。
何度も、何度も・・・だから、大丈夫だと思ってた。でも、実際はダメだ。
数多の映像でみたそれとは、全然違ってた。
だって、そうだよ・・・正チャンなんだ。君は、僕自身の正チャンなんだよ・・・
君が倒れる瞬間、僕は、心の中に吹雪でもやってきたんじゃないかってくらい、怖くなった。
君が目を開けて、僕の名を呼んだ時、酷く安心した。
僕は、僕が思っているより、君が大切だったんだ。
君と過ごした日々は、もしかしたら平凡で、ありふれていてつまらないものなのかもしれない。
だけど、君の言葉を借りるなら、僕にとっても、それは人生で一番楽しい時間だった。
君が僕の隣で笑う。
君が怒る。
日常の風景に溶け込んだそれは、ただの日常。
でも、僕にとっても、宝物だったんだよ。
今なら解る。
今なら言えるのに。
君がいれば、僕は、僕はそれだけで生きていたんだ。幸せだったんだ。
一緒に、泣き、笑い、そして時にはケンカをして、あたりまえに過ぎる時間の、一欠片が、何よりも、大切な――――・・・
伝えたい言葉は沢山あるのに。
やっと君に言えるのに、僕は、もう君に伝えることさえ出来ない―――・・・
僕は、馬鹿だね。
今更、こんな大切なことに気づくなんて。
遅すぎるよね。
君は、いつだって僕に伝えようと、声を張り上げてくれていたのに。
僕はそれに気付けなかった。
君はいつだって手を差し伸べてくれていたのに。
今更、こんな事を伝えたいなんて、おかしいかもしるないけれど・・・今、伝えなきゃ、いけないんだ。
好きだよ、正チャン。
好き、好き・・・大好きだよ。
何度だって、何度だって、伝えても伝えきれない。
好きだよ、正チャン。
君を愛してるんだ・・・
僕は・・・・
水音が、迫ってくる。
ゆらゆら揺れる、光のない世界・・・
正チャン、ごめんね・・・大好き、だったんだ・・・
最後に見た世界は、君と同じ、きれいな色でした。